topimage

トップページ > 特集&コラム > 「@bino-FS」大解剖(第3回)

特集&コラム

第3回  ロス要因と出数の構成率による原価管理

解説:権純浩/『季刊MS&コンサルティング 2008年秋号』掲載

第2回の@bino-FSを用いた売上管理に続き、今回は原価管理について整理したいと思います。ここで言う原価管理とは、適正利益創出のために、売上に占める原価の割合を適正に保つことを指します。

費用対効果は利益ベースで管理

原価率を算出するための売上高の定義は各社によって様々ですが、利益の創出こそが最大のテーマだと考えると、値引・割引後の売上が最も好ましいでしょう。値引や割引をすれば売上をあげやすくなりますが、最終的に残る利益は減ってしまいます。

値引・割引前の売上を基準に原価率を算出している会社もありますが、値引や割引は販促費などで計上せずに、売上と相殺した値引・割引後の売上が一般的です。

第2回の売上管理の際にもご説明をしましたが、値引・割引の費用対効果は、売上の大きさだけではなく、利益ベースで考える必要があります。同様に原価についても、原価率を算出する売上が税抜であれば、原価も税抜に統一をすべきでしょう。

では、原価率に影響を与える要因について、ロスによるもの、出数の構成率の差異によるものに分けて考えていきましょう。

ロス低減による原価管理

まずロスについてですが、実際原価と理論原価を比較することで、どれぐらいのロスが発生しているかを確認します。実際原価は、月初在庫高+(プラス)今月仕入高−(マイナス)月末在庫高という式で算出され、理論原価は単品ごとの想定原価×出数の合計で算出します。

主なロスの原因としては、廃棄ロス、商品ロス、ポーションロス等が考えられます。廃棄ロスの原因としては、売上予測の精度の低さや発注ミスによる仕入過多、食材の歩留まりの悪さ、不適切な保存・管理による食材廃棄等が考えられます。商品ロスであれば、対お客様、対キッチンでオーダー確認の仕方に問題がある可能性があります。ポーションロスは、目分量で調理を行うために想定量を超えた食材を使っていることが考えられるので、計量の徹底や原価率の高い食材に関して日々棚卸しを行うことが有効です。

前記のロス要因以外にも、賄いや常連客等への無料提供といった要因も考えられるので、社内で一定のルールを決めておくべきでしょう。

出数の構成率改善による原価管理

ロス率が一定にも関わらず、月次推移や同一業態内で原価率に違いが生じている場合、且つメニューや価格の変更がなければ、単品ごとの出数(構成比)に違いがあると想定されます。この場合、管理の徹底というより改善という視点が必要になります(図:商品出数比較表)。

図:商品出数比較表

当然、原価率の高い商品(粗利率の低い商品)の構成比が高ければ、原価率が高くなります。構成比の違いがなぜ生じるのかは、仮説を立てて検証していくことになります。メニューやPOP等の店内販促物による打ち出し方の違いなのか、スタッフのお勧めの仕方の違いなのか、もしくは根本的に客層が異なるために構成比も異なるということも考えられます。

店内販促によるものであれば、多少の試行錯誤はあれ、成功店舗のノウハウを共有し実行することで原価率低減の可能性は高まるでしょう。

難しいのは、客層が異なる場合です。当初想定していた客層と異なる場合、現状の客層を変えるのはリスクが大きいため、現状の客層に合わせた形で店舗のコンセプトを見直すことも必要でしょう。多店舗展開で同じ業態名で全く異なった店舗が乱立するといった状態であれば、業態コンセプトの統一化を図ることも必要ですが、立地や客層といった条件が全く同じ店舗はありませんし、価値観が多様化している現状では、店舗ごとにコンセプトを微調整しながら、現場主導で改善を行うことが、今後の飲食店経営を考える上で優先されるべきでしょう。

以上のような視点で原価を見たときに、同一店舗の月次推移や同業態内で生じる原価率の違いは必ずしも悪というわけではありません。違いが生じた理由が明確で、且つそれが店舗の利益に結びついたものであれば特に問題はありません。同じ業態、同一店舗だとしてもそれぞれの店舗のおかれている条件は多少なりとも異なるので、強いて言うなら適切な原価はその時々の店舗ごとに異なるはずですし、説明の出来ない原価の変動こそ管理の対象とみなすべきでしょう。

それでは、原価率を改善するためには、どのような方法があるでしょうか。最も一般的なのはABC分析ですが、今回はより視覚的に捉えるために、粗利率と出数構成比の2軸で、粗利額を大きさで表して、メニューの改廃について考えます。

粗利率と出数構成比によるメニュー検討

使用する食材が他の粗利を稼げる商品と同一で食材のロスが生じる可能性が少ない場合、且つ調理のオペレーションが煩雑でない場合は、必ずしも削るべき対象にはなりません。反対に、出数が少ないにもかかわらず、その商品のためだけに食材を仕入れる場合、出数予測の精度も落ち、廃棄ロスの可能性が高まります。また、オペレーションが煩雑になる場合、生産性(料理提供や回転率)に悪影響を及ぼします。

その一方で、メニューの改廃は売上にも影響するので、原価率の高低だけでは判断できません。粗利率が低いという理由で、お客様の満足度が高い料理を削ると、リピーターを失うかもしれません。メニューの改廃の際に念頭に置くべきは、客単価だけではなく、一人当たりの利益も考えるべきでしょう。

ここまでは原価管理の方法論について述べてきましたが、店舗過多で顧客の価値観も多様化した外食産業では、現場主導の管理・改善が必須になります。マネジャーや経営者からの指示だけでは見えない部分、見落としている部分が必ず生じるので、改善策のみを指示するのではなく、方法論を教え、店長自身が現状把握・対策立案し、それに対してマネジャー・経営者がアドバイスをするというようなマネジメントへと昇華させる必要があるでしょう。また、そのようなマネジメント手法であれば、店長のやりがいや成長感につながっていくでしょう

お問合せはコチラ