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特集&コラム

第2回  売上についてのCheck(分析)、Action(向上施策)

解説:権 純浩/『フードビジネス通信 2008年2月号』掲載

目標達成のための計画を立てるには、数字で正確な現状を把握する事が必要

前回は、予算の立て方と日報について述べました。マネジメントのPlan-Do-Check-ActionのPlan(計画立案)とDo(実行した結果としての日報)にあたる部分です。今回は、Check-Action部分、特に売上の分析と向上施策について述べたいと思います。

そもそも、優れたマネジメントとは何を指すのでしょうか。店長の最大のミッションが、売上・営業利益目標の達成であることを考えれば、その達成率こそがマネジメント力を測る指標になります。達成率が低い要因としては、

(1)売上予測が正確ではない

(2)ストレッチの度合いが適切ではない

(3)目標達成のための計画・行動が出来ていない

という3つが考えられますが、(1)と(2)、すなわち計画段階での目標が適切であれば、(3)目標達成のための計画・行動を見直してみる必要があるでしょう。

目標達成のための計画を立てる際には、正しい現状把握から始めなければいけません。いつも現場に立つ店長は売上の変化に対して、感覚的もしくは近視眼的に捉えてしまうことがよくあります。来店は少ないけれど印象的なお客様を思い浮かべたり、ファミリーよりもカップルが多いといった先入観で判断してしまいがちだからです。だからこそ、正確に現状を把握するためには、数字で把握する必要があります。

Check:曜日別・時間帯別に見る売上・客数・客単価の推移

では、どのように把握すべきか。まずは、売上減(増)はどの部分で生じているのかを把握する必要があります。そのために、曜日別平均売上や時間帯別売上の月次推移・昨年同月対比を見ます。

「表A:曜日別売上高 推移グラフ」では、平日と金・祝前日の売上が常に昨年対比を下回っていることがわかるので、その部分を客数と客単価に分解したデータが「表B:売上・客数・客単価推移表」になります。

表A:曜日別売上高 推移グラフ

表B:売上・客数・客単価推移表

売上・客数・客単価推移表から、21時〜24時の時間帯の客数が、平日と金・祝前日ともに下がっていることがわかります。また、18時〜21時の時間帯は客単価の上昇によって客数の減少をカバーしているようです。このように問題の箇所が特定できれば、適切な対策を立てやすくなります。

Action(1):客数(新規客と既存客における価値認識)

客数が減っている場合、よく販促に頼る店舗があります。折込チラシやポスティングといった販促は、新店の場合など認知度が低い場合には有効ですが、反応率は良くて2%程度なのでそれほど効率の良い方法ではありません

最も好ましい客数の獲得方法は、既存客の来店数増と、既存客からの口コミ・紹介による新規客の獲得です。ですから、既存のお客様が、お店のどの部分に価値を感じて来店しているのかを確認してみましょう。方法としては、店内アンケートや弊社のMSR等を使って数値化することが好ましいですが、まずは常連のお客様に口頭で聞くところから始めても良いでしょう。

私がお付き合いさせて頂いている、鮨居酒屋を2店舗経営している企業様で、本店は常連客が多く売上も安定していたのですが、2店舗目は売上が伸び悩んでいるということで、ご相談を受けたことがあります。その際に実施したのが、前記の方法です。両店舗で店内アンケートを200枚ほど収集し、お客様が感じている価値を、新規客と既存客に分けて分析してみました。特に常連客が感じている価値を比較した結果、本店は鮨や刺身の新鮮さやスタッフの親しみ易さが評価されていましたが、2店舗目のお客様はメニューの多さに価値を感じていました。

そこで、メニューを鮨や刺身を訴求するようなものに変え、オーダー時には「今日は新鮮な○○が入ってますよ」と言う形でお勧めを強化したところ、昨年同月対比100%で推移していたお店が3ヵ月後には110%に改善し、今では3店舗目をオープンするに至っています。

Action(2):客数(客層別によるコンセプト再定義)

また客数を、新規客・既存客という来店回数で分けずに、会社員・ファミリー・カップルといった客層で分けて分析するのも一つの方法です。そもそも想定したターゲット層はどういったものか、そして実際にはどういった客層のお客様が多いのかを比較します。

例えば前述の表の通り、21時以降の売上が落ちているということから、会社員の食事後の2件目利用が減っているという仮説を立てたとしましょう。その仮説を立証するために、客層データを取ってみたところ、男性会社員はやはり減っていたものの、一方でOLが増えていたことがわかったとします。このように当初の想定とずれている場合、メニューや席のレイアウトが適切でない可能性があるので、その場合には実際の客層に合わせてお店のコンセプトを見直す必要があるでしょうし、今後の打つべき方法も変えるべきでしょう

Action(3):客数(媒体を利用した販促)

インターネットや情報誌等の販促は、客数は伸びるが客単価が値引き・割引によって低くなるので、費用対効果の検証は必ず必要になります。

例えば、10万円の費用をかけて情報誌に「10%割引クーポン」を掲載した場合、原価率を30%と仮定すると、売上から原価を除いた金額が10万円になるためには、14万2875円(10万円/70%)、10%割引も考慮に入れると15万8730円(14万2875円/90%)の売上を最低でも上げなければ、ペイしません。客単価を3000円、一組当りの平均人数を2.5人と仮定すれば、情報誌掲載によって22組以上を獲得しなければいけないことになります。

これはあくまで短期的な視点ではありますが、情報誌掲載によって獲得した新規客をリピーターにするには前述の事例のようなその業態が持つ強みといった根本的な部分を強化しておく必要があります

Action(4):客単価(フード売上・ドリンク売上)

表Bをみると、平日と祝前日ともに18〜21時の客単価が上昇しています。客単価の増減については、メニューをカテゴリー別に分けて、構成比や推移を確認する必要があります。構成比の下がっているカテゴリーについては、高単価の新商品の投入や積極的なお勧めを行うことが考えられます。あわせて、構成比が変化している背景についても、既存客層のトレンドの変化や客層そのものの変化、競合店の出現等の仮説を立てることで、より効果的な施策になるでしょう。

但し、アルコールの売上は、短期的には昨年の道交法の改正(飲酒運転の罰則強化)、中長期的にはアルコールを飲む人の割合低下といった要因があるため、注意する必要があるでしょう。また、業態や客層によって適切な価格帯もあるので、安易に客単価をあげることもリスクが伴います。

やはり売上の増減を見る際には、客単価よりも客数を重視、3ヶ月先を見越しながら客数をあげることに注力することが好ましいと思われます。

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