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特集&コラム

第3回 ASP型店長育成システム「@bino-FSシステム」

文:古川 健/『フードビジネス通信 2007年7月号』掲載

最終回となる今回は、前2回の内容を振り返った上で、マネジメント改善を実現するための具体的なシステムについてご紹介していきたい。

マネジメント改善の「肝」

実際に企業がマネジメント改善に着手する場合、「マネジメントの仕組み」が重要となってくる。ポイントとなるのは以下の4点である。

(1)マネジメントの重要性と責任範囲の明示

「マネジメントの仕組み」は、「正しいマネジメントのサイクル」【図表1】を回し続ける上で必要不可欠であるが、さらにその大前提として、「マネジメントの重要性」と「マネジメントに対する責任」が組織内で共有されていなければならない。

店長というのは大半の場合、そのマネジメント能力を評価されて店長になったわけではなく、オペレーション能力を評価されて店長になっているものである。そのため「体質強化へのステップ」【図表2】を実行させ続けることで、マネジメントの習慣付けと能力強化を図ることが重要となってくるが、その前段階として経営者はまず、彼らにマネジメントという仕事の重要性と責任範囲を、明確に示す必要がある。ここが曖昧になっていると、その店長の能力や姿勢に関わらず、経営者との間で認識のズレが生じ、コミュニケーションのロスが発生する。マネジメントのできる店長が育たない、マネージャーが育たないという問題は、実はこうした部分が原因となっていることが少なくない。

図表1 毎月行うべきPDCAサイクル、図表2 マネジメントの重要ファクター体質強化へのステップ

(2)組織体質の改善目標の設定

図表3 独自スキームによるマネジメント上の課題診断結果例もう一つ、「マネジメントの仕組み」の前提として重要となってくるのが、「組織体質の改善目標の設定」である。

これは要するに、組織(組織の構造や人財の能力)のどこに課題があるかを把握し【図表3】、改善策を立て、改善計画に落とし込む、ということである。目標、つまり目指すべきところがはっきりしなければ、いくら会議体系やシステムを整えたとしても、効率的なマネジメント強化を実現することはできない。マネジメントとは、単なる業績管理ではなく『目標達成のための活動』であり、その範囲は広い。したがって、効率的に強化を図るためには、予め自社の課題を特定し、それに即したポイントに注力する必要がある。会議体系やシステムも、自社のマネジメントの現状に即して選択しなければならない。

(3)会議(報告・指導体制)の改善

図表4 独自スキームによる会議の視点会議を見れば、その会社のマネジメントのレベルはおおよそ推測できる【図表4】。会議にはさまざまなスタイルがあるが、「店長からの発表と、それに対する上司からの指導」というのは、ほとんどの会社で行われていることである。そして、この「報告と指導」は、まさに店舗マネジメントの要である。

もちろん、会議だけでマネジメントが機能するわけではないが、適切なタイミングで適切な内容の報告と指導を行うことは、「マネジメントの仕組み」の基本である。ところが、せっかくこのような場を設けているにも関わらず、それが効果的に機能していないことも多い。

《よくある会議運営上の“課題”》
・先月の業績の結果とその要因の報告に多くの時間が割かれ、当月・来月の対策が曖昧
・指導内容が曖昧で、店長が具体策を見出す事ができず、行動に移せない
・準備(必要なデータや情報等)不足で、その場で判断や指導ができない
・人材育成と当月業績獲得策が混同されており、目標達成のプロセスが見えていない。

また、会議体系が整っていないせいで、その効果性が薄れていることも多い。一番多いのは、開催タイミングの問題である。たとえば、7月の計画に対する会議が7月に行われている、月に1回しか会議が開催されていないというのは、典型的な例である。マネジメントの手段としての会議を有効に機能させていくためには、7月の計画は販促準備や店舗内準備も含めて遅くとも6月20日前後には行われるべきだし、月初の1週間、つまり7月7日の時点では計画と実績の差異を確認し、2週間目ではそれまでの傾向を整理して月末までのアクションを確定するといったように、途中段階での会議も必要となってくる。

(4)考える枠組みの提供

会議や日々の報告に関して、「考える枠組み【図5】」を用意してあげると良い。

図表5 月・週・日次別マネジメントのポイント

図表6 フォーマット例必要以上に形式にこだわり過ぎてもいけないが、組織のメンバー全員が同じ水準でマネジメントできるようになるまでは、フォーマット【図表6】や帳票、システム上にこうした枠組みを作っておくと、組織的なマネジメントレベルの引き上げに役立つ。

ASP型店長育成システム「@bino-FSシステム」

弊社では、これまで述べてきた「マネジメントの仕組み」を通して、「正しいマネジメントのサイクル」が実現されることを狙いとして、ASPソフト「@bino-FSシステム」を開発し、提供している。以下、マネジメントサイクル上、特に重要なポイントとなる。

A 計画

B 計画と実績の差異分析

C レポート&レビュー

の3点に関するイメージ(@bino-FSシステム画像より抜粋【図7〜12】)を下に掲載するので、これまで述べてきた内容の具体的な落とし込み方法の一つとして、参考にしていただきたい。

まとめ

これまで3回にわたり、マネジメントに対する考え方から、マネジメント改善のポイントまでを述べてきた。この連載中にも数多くの経営者からお話を伺い、また会議に出席する機会があったが、そうした中でつくづく感じるのは、「マネジメントを強化することによって減らすことのできる機会損失や、事前に排除できる障害が、何と多いことか」ということだ。この連載の内容が、御社のマネジメント強化の助けとなれば幸いである

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【図表7】A計画:立案
【図表7】A計画:立案 まずは、しっかりと計画を立てる習慣付けが重要。計画がなければ、コストコントロールも進まない。毎日の売上から日別の労働時間予算まで、しっかりと計画を立てる。
【図表8】B計画と実績の差異分析:曜日別売上計画立案
【図表8】B計画と実績の差異分析:曜日別売上計画立案 売上計画は、「売上推移」「環境要因」「施策要因」から予測。過去一年間の売上推移に基づく次月数値予測がポピュラーだが、過去一年間の推移と過去3ヶ月間の推移を比較して直近のトレンドを組み込むことも有効(ここでは曜日別売上にて計算)。売上予測の精度は目標達成精度や利益管理に直結する重要テーマ。計画に対する意識を高め、計画に対する指導を重点的に行うことが必要。
【図表9】B計画と実績の差異分析:日別予実対比
【図表9】B計画と実績の差異分析:日別予実対比 週間・月間の分析は、時間帯別・曜日別・種別と細かく分けてから分析を行うことで、原因が特定しやすくなる。「売上が下がっているから、販促を打とう」という漠然とした話ではなく、「平日のアルコールが弱いから、平日の早い時間帯にアルコールサービスやドリンクフェアを実施し、満足度を高めていこう」といった具体策が見えてくる。
【図表10】B計画と実勢の差異分析:売上分析
【図表10】B計画と実勢の差異分析:売上分析 計画をしっかり立てていれば、日々の実績との差異を検証することで、対策立案も容易。毎日・毎週のスパンで数値の差異を検証し、売上の変動があればすぐにコスト計画に反映させる。
【図表11】B計画と実績の差異分析:人件費分析
【図表11】B計画と実績の差異分析:人件費分析 人件費も、時間帯別・曜日別に比率及び労働時間実績を比較することで、「オープン準備の人員が多過ぎるから、オープン準備チェックリストを使って効率化しよう」「アイドルに仕込みをすることで、準備の人員を一人減らそう」など、具体策が見えてくる。
【図表12】Cレポート&レビュー:日報
【図表12】Cレポート&レビュー:日報 「計画と実績の差異要因の分析と対策」「対策の効果検証と改善策」「取組みテーマ実施状況」「顧客の状況」などといった項目で予め日報の枠組みを作っておけば、重点的に思考の訓練ができ、指導の効率も上がる。

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