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特集&コラム

第2回 店長のマネジメントとマネジメントの仕組み

文:古川 健/『@binoフードビジネス通信 2006年12月号』掲載

正しいマネジメントのプロセスを明確にし、それをアクションレベルにまで落とし込む。

マネジメントの仕組み

前回、組織のマネジメント力向上の為の仕組みとして次の3つが必要である事に言及した【図表1】。

図表1 マネジメントの重要ファクター 体質強化へのステップ

●毎日毎日の店長の思考と行動の訓練

●店長とマネージャーのコミュニケーションの量と質の向上

●正しい情報管理

このような仕組みを作り、意識を変え、人財を育てる事が継続的に成果を出す体質を作り出す。今回、第2回では、この仕組みの内容をもう少し詳しく、また、それと店長のマネジメントの関わりについて掲載をさせて頂く。

先ず、この3つのマネジメントの仕組みの内容について。この3つの仕組みはそれぞれが独立して機能するものではなく、それぞれが組織のマネジメント強化において補完し合う関係にある

毎日毎日の店長の思考と行動の訓練の仕組み

マネジメント強化の為に店長は毎日、思考と行動を訓練する事が必須である事に触れた。多くの企業はその為の仕組みを取り入れている。日報がそれである。多くの場合、日報はその日の数値と業務内容の報告、及びその日の感想という構成になっている。これが思考と行動の訓練の鍵となる。もちろん、単なる数値と業務内容の報告だけでは訓練にならない。毎日毎日の日報を書く事で、自然にマネジメントの考え方が身に付き、その能力が向上していく、というものでなくてはならない。日報の中で目標と実績の差異とその要因を分析し、課題と対策を優先順位をつけてスケジュールに落とし込んでいく、分析の中で数値から仮説を立て現場で検証をし、また現場から仮説を立て数値で検証をする、という数値と現場を駆使して仮説−検証を繰り返していく事を習慣にしていく。

これは単に、上記の項目を盛り込んだ日報を作成するという事だけでは実現出来ない。ここで重要になるのが次の2つの仕組みである。

店長とマネージャーのコミュニケーションの量と質の向上

目標と実績の差異とその要因を分析し、課題と対策を優先順位をつけてスケジュールに落とし込んでいくプロセスは、経営者にしてみると非常に基本的な考え方であるが、現場の店長にしてみると、先ずこの基本中の基本とも言える考え方が非常に難しい。

これに関して、

●店長が毎日の日報で記載すべき内容を明確に指定する。

●マネージャー(もしくは上長)は、日報の記載内容があるべき思考に基づいているか、行動まで落とし込んでいるか、を毎日チェックし、タイムリーにフィードバックする。

●落とし込まれた行動が着実に遂行されているかどうか、をチェックするという毎日のコミュニケーションを通して、この基本的な考え方や行動の仕方を訓練していく。

正しい情報管理

上記のコミュニケーションが成立する為には、マネージャー(もしくは上長)が現場の状態を正確に把握している事が必須になる。具体的には、マネージャー(もしくは上長)自身が店舗の状態について、少なくとも目標達成に向けた課題と対策の仮説までは、十分に把握をしている必要がある。前日までの計画と実績の推移と、その中での詳細(時間帯別、曜日別等の客数、客単価等)、及び、顧客からの評価、店舗メンバーの状態が把握すべき情報になる。この情報を店長とマネージャー(もしくは上長)がタイムリーに共有する事でコミュニケーションの質は飛躍的に高まる

店長のマネジメントの問題点

マネジメントの仕組みの前に、実際、店長の何が問題でマネジメントが機能しないのか、という点に触れておきたい。店長におけるマネジメントの真の問題は、

1. マネジメントのやり方がわからない(マネジメントの正しいプロセス・体系が不明確)

2. マネジメントに対する教育が行われていない

という2点に集約をされる。

もちろん多くの外食企業が「店長マニュアル」なるものを作成され、「店長の仕事」〜「売上予測の立て方」〜「クレーム対応」等を詳細にまとめている事と思う。店長が店舗のマネジメント遂行者として、そのミッションに対して十分な認識を持っていればそういったマニュアルは大変役立つものである。また、そのマニュアルに記載をされている手順を忠実に遂行すれば着実に成果を上げられる所まで業態が科学されれば(成功法則が明確になり、成果を上げる為のプロセスがアクションレベルで明確になっていれば)そのマニュアルの遂行が成果に直結するであろう。しかし、実際はそのマニュアルの活用の仕方が成果を生むのであり、一つ一つの技術(「売上予測の立て方」や「人件費管理」等)が本当に店長に必要なのである。毎日、毎週、毎月、どういったプロセスでマネジメントをするかが、体系的になっており、そのプロセスの遂行の為のアクションとして「売上予測」や「人件費管理」といった技術を有効に活用する事が出来る。

正しいマネジメントプロセス

優秀なマネージャーとは、目的・目標の達成の為に、組織が持てる力を最大限に発揮できる状態を作る、その為に最適な手段を選択する事が出来る。組織的にマネジメント力を強化する際に最も重要になるのは、この「目標を達成する為に、組織の持てる力を最大限発揮できる状態を作る」為に必要な店長のプロセスを明確にし、具体的で店長がイメージできるレベルのアクションにまで落とし込む事である【図表2】。人が能力を身に付けるには、正しいやり方を理解し、繰り返し経験する事が必要である。マネジメントの教育がなされていない、というのは、この正しいやり方が明確にされないまま、ただひたすらに現場での業績責任を果たさせようとする状態を指している。このアクションの遂行を通して、毎日店長は思考を訓練され、また、適時マネージャーとのコミュニケーションを取る事を習慣にする事で問題解決に対するアドバイスを受ける事ができ、またそのアドバイスを通して店長が視野を広げ、思考を深めていく事が出来る。もちろんその前提には、店長とマネージャーが十分に現場の状況を共有できる正確な情報管理が必要になる

図表2 毎月ごとに行うべきPDCAサイクル

正しいマネジメントのプロセスを明確にし、それをアクションレベルにまで落とし込む。

アルバイトやパートの延長としての現場のオペレーターから、目標達成の為の問題解決者足るマネージャーとしての店長への脱皮は容易ではない。その為の環境を整備出来ているかどうか、に今一度焦点を当てなければならない。

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